2018年5月24日木曜日

AmritaSerVeー裁縫が経済的自立を促すー

AmritaSerVe アムリタ・サーヴ

2013年9月、アンマ生誕60周年記念式典にて、アンマによって立ち上げられた「アムリタ・サーヴ」は、インド全土に渡り101の農村が持続可能な自立モデルとなるよう支援しています。


<再利用可能な生理用ナプキンが村の女性達の新たな収入源に>

 今、世界では一つのユニークな取り組みが始まり、長らく続いた、暗く辛い時代が終わりを迎えようとしています。
古来より受け継がれてきた、女性の身体を神聖なものとして讃える習慣と環境保護に対する時代の要請とが一つになった結果、その取り組みは生まれました。

 土壌の養分を穏やかに消費する穀物の栽培や、化石燃料を使用しない、エネルギー効率の良いシステムの構築など、環境を汚さないようにするための取り組みが世界各地で始まっています。女性達の求めに応えるという点でも、同様に、大きな規模で目覚めが進行しています。
私達が毎月生理期間中に廃棄する化繊製のナプキンが、環境にとって大きな負担となっていることに、人々は気付き始めたのです。
そうしたナプキンには、生物分解されない素材が使われており、
インドの環境保護ポータルサイトDown to Earthの推計によると、毎月廃棄される生理用ナプキンの数は、インド国内だけでも4億3200万に上るとされています。

 この問題の解決策の一つとして生まれたのが、布製ナプキンの使用に回帰する取り組みです。
ただし、今回のものは、丁寧に裁縫された、繰り返し使用できる綿製パッドであるという点で、これまでのものとは異なっています。
収入源として非常に高いポテンシャルを秘めていることから、Amrita SeRVeはインド各地の村で、女性達にパッドの作り方と、収入を得るための手段としてそれらを活用する法方とを教え始めました。

 サンスクリット語で「幸福」と「福祉」を意味するSaukhyam(サウキャム)という商品名が付けられたこのパッドには、多くの利点があります。
綿素材は皮膚の呼吸を妨げないため健康的です。数年にわたって繰り返し使えるため経済的です。
天然素材を使用しているため環境に負担をかけません。そして、収入を得、社会的な自立を実現する手段を提供するという意味で、
インドの女性達にとって有益なものです。つまり、このパッドの作成に取り組むことは、あらゆる面で恩恵をもたらすのです。

 最近、北西地方の村々を訪れ、パッドの作成法を学びたいと希望する女性達に会った指導員のルパーニ・コーレーは、
彼女たちの示す熱意に驚かされました。一般的な文化では、女性の生理はタブー視され、恥ずべき事柄とさえ見なされています。
それにもかかわらず、彼女の教えた女性達は皆、学ぶ意欲にあふれていました。
例えば、テランガーナ州のコドゥールでは、女性達は教習が始まるよりも前からすでに、数百個のパッドを注文していました。

「彼女達が既に学ぶ用意ができているのを見て、本当に嬉しくなりました」

そう言って、ルパーニは微笑みました。

「パッドの裁縫キットは、ミシン、縫い針、生地、糸がセットになっていて、作業がすぐに始められるようになっています。
でも、そうした便宜以上に、私が一番驚いたのは、彼女達が見せた、オープンな態度と積極的に取り組もうとする姿勢です。」
ルパーニと女性達は、輪になって地面に腰を下ろしました。彼女は、新しく柔らかい綿の生地を二層に折重ねました。
その上に型枠を当てがい、切抜きのための線を引きます。女性達は注意深く指示通りに作業を進め、見本が出来上がった後、
各々が自分達の裁縫に取り掛かりました。受講者の一人、スジャータは言います。

「多くの人が用いている使い捨てのパッドは、使用後に廃棄せざるを得ず、その点、このナプキンはとても優れています。
毎月購入するものなので、繰り返し使えるパッドは、年間では大きな経費の節約になります。」

 別の受講者のヴィーナは、このように付け加えました。

「村で放し飼いしている牛達が廃棄物を食べる可能性があるため、パッドは燃やさなければなりません。それにより、空気が汚染されます。再利用できるパッドが広く一般に用いられるようになれば、こうした点でも大きな違いが生じると思います。」
私達は、インドの村々におけるもう一つのささやかな取り組みとして、10代の少女達を対象に、パッドの着用と取り扱いの仕方を教える講習を始めました。講習では、生理の期間中に日々求められる事柄とその対処法について話し合います。
少女達には、体調さえ良ければ、学校にパッドを着用して行くことは、何ら問題ないと伝えます。
それから、普段気になっている事柄に関して自由に質問をしてもらい、情報を共有し合います。
中には、生理について話す機会を持つのは初めてで、そのため最初は恥ずかしく感じる少女達もいます。
それでも、講習が終わる頃には、ほとんどの少女達は何か役立つものを見い出し、心に安心感を覚えるようになります。

ルパーリは言います。
「アーンドラ・プラデーシュ州から西ベンガル州に至るまで、Amrita SeRVeの対象となる全ての村々を教えて周る中で、
もっともやりがいを覚えたのは、出会った女性達や少女達の心の中に新しいアイデアが生まれるのを見たことです。
個人の衛生から廃棄物の処理、伝統から生計手段に至るまで、女性達は斬新でポジティブな視点を持っています。
ですから、社会全体としても同様の視点を持つことが出来るようになる日は、きっともうすぐそこまで来ていると思います。」